江戸木箸・創作 有限会社 大黒屋
(2025年7月取材)
ご縁があった方を1人1人幸せにできる。
そういう企業であり続けたいと思っています。
江戸木箸・創作
有限会社 大黒屋
代表取締役 丸川 徳人 さん
「箸」を人が毎日使うための「大切な道具」として創りはじめた、日本でも珍しい江戸木箸のお店。
このお仕事を始められた経緯を教えてください。
私はもともと印刷会社で働いていたのですが、そこで出会い、一緒になった妻の実家が「大黒屋」でした。
その頃、先代の竹田(大黒屋創業者)が江戸木箸を作る職人を探しており、興味を持ち、職人になりました。
私が代表になったのが約3年前。 それまではずっと工房にこもって、毎日箸を創っていました。
どのように先代と一緒に作ってこられたのですか?
竹田は「お箸は道具」「いろんな形があった方が、使いやすいお箸になる」と考え、いろんなアイデアを考案。
私はそれを、「どうすれば形を維持しながらも、量産可能な箸ができるか」を、工房に泊まり込みながら、何度も試し、理想の箸に近づけていく。という具合に二人三脚で作ってきました。
江戸木箸は竹田が作り始めたものなので、歴史が浅い。どうすればいいかなんて誰かに教えてもらえるわけでもありません。 新しいアイデアが浮かんだら、手さぐりでいちから作っていくしかありませんでした。おかげで今では200種類程のお箸があります。
そんなふうに丁寧に作られたお箸は、実際に握っていただかないと、本当の良さは伝わりづらいですね。
うちの箸の形は、四、五、六、七、八角形…など多数あり、実際に握ってみないと、その方に合う箸は分からない。
なので、必ずスタッフがそばにいて、1つ1つ箸の形や特徴を説明していきながら、実際に握って選んでいただいています。 握っていただくと、「ああ、なるほど」と一瞬で箸の良さを理解していただけます。
お客様も今まで、色々と箸を「試す」ということを経験されたことがないので、いろんな気づきや発見があり、「自分の箸を選ぶ」ことを本当に楽しんでいらっしゃいますね。
「人」と「人」がつながるコミュニケーションのある商売を大切にしています。
うちでは、お客様と会話をしながら商品についての気づきや感動を伝えられる対面販売をとても大切にしています。
私自身が楽しんで箸を作っているので、伝える時も自然と楽しく伝えられる。そうすると不思議とお客様も楽しくなって、さらに興味を持っていただける。
それができるのが実店舗の強さ。特に今の時代はそれが大切だと思っていて、そういうのが昔ながらの「本当の接客」なのかなと感じています。
「人」と「人」とのつながりや信頼、それがあるからこそ、商売を続けさせていただいていると思っています。
今ではありがたいことに、皆さんが人から人へ、世界へと、輪を広げてくださるので、うちでは広告宣伝費がほぼ必要なく、営業もいないんです。
新規のお取引様も、SNSで探してわざわざ来てくださるというありがたい状態です。
悩みながらも、自分の良さを追求。お客様と心を通わせる接客ができるように。
でも、20代の頃は本当に話すことが苦手で悩みました。
売り方が判らないし、自信が持てない。
最初は竹田の真似をしながら売っていたのですが、真似ているだけなので、お客様にも良さが伝わらないですし、会話も続かない。
30代になって「これじゃ駄目だ」と思い、自分の思いをどう伝えていくかが重要なんじゃないかっていうことに気づき始めました。
私の良いところは、楽しみながらいろんなことを追求し、こだわりが強いところ。誰にも負けない知識量と技術。その個性を武器にしていこうと考えました。
そうすると、お客様の反応も変わってきて、お話しすると自然とお買い上げいただけるように。これは本当に嬉しかったですし、お話しするのが楽しくなりましたね。「人との会話ってこういうことか」っていうのが分かりました。
先代からずっと「人」を大切にして、江戸木箸を制作されているのですね。
基本は本当に「人」と「人」。
結局は「誰のために作っているか」ってことなんですよね。 使う人のためを思って作れるかどうか。 利益重視のためだけに作ってたら、世界中の方々に愛される箸は作れていなかったと思います。
1本1本、手でひたすら削っていくっていうような、効率の悪いやり方でも、やっぱりそのやり方だからこそいいものができる。
本当に美しいお箸ですね。
ありがとうございます。
お店に入っていただくと、みなさん驚かれますね。
ただ、うちはかっこいいお箸を目指しているわけじゃないんですよ。 あくまでも「使いやすいお箸」、それ一択なんです。
そうすると自然とシルエットがシンプルに美しくなっていき、たたずまいも「凛」としてきます。
シルエットの良いお箸っていうのは大体使いやすいですね。
お箸を作り始めた頃と今と。大きく変化したことはありますか?
当初20歳そこらの頃は、漠然と「日本一の職人になりたい」という思いが強かったですね。
けれど年を重ねていくにつれて、本当に感謝される「道具」を作らせてもらっているんだなと感じるようになりました。
箸を使っていただいて、「ありがとう」「使いよかったよ」、「人に紹介したい」と感謝していただける。こんな仕事ってなかなかないと思いますし、この仕事に携われて、本当に嬉しく思っていますね。
楽しく人のために働くことで、たくさんの良いことが返ってくる。
私の幼少期からの信条が、「自分のためではなく、人のために動け」なんです。
人のためになることをやり続けると、必ずたくさん良いことが自分に返ってくると思っているんですよね。 今までがそうだったし、この仕事を通しても、さらにそう感じますね。
大黒屋がもっと有名になって、世界中の方に「墨田区」を知ってもらうことで地域貢献したい。
この場所でお店をさせていただくことで、自分たちは何が貢献できるんだろうと考えた時に、「お店にお客さんが来ていただける」ということかなと思っています。
来ていただければ、ここはスカイツリーや商店街など、色々と散策できる場所があるので、さらにこの街の良さを知っていただける機会を作れるのではないかと思っています。
あと、大黒屋が有名になれば、「墨田区」の名前も知ってもらえる。
世界中に知ってもらえれば、それはすごく地域貢献になるのではないかと思っています。
墨田区役所や産業振興課の方達とつながって初めて、そう思うようになりましたね。
ここでお店をさせていただきながら、街と一緒に有名になっていければいいなと思います。
江戸木箸・創作
有限会社 大黒屋
〒131-0032 東京都墨田区東向島2−3−6
TEL:03-3611-0163
FAX:03-3611-0180
営業時間:10:00〜17:00
定休日:第2・第3土曜日、日曜日、祝日
https://www.edokibashi-daikokuya.com/