株式会社SD.S
(2024年9月取材)
人との出会いで生かされてきた人生。
その恩返しができるコミュニティをダンススタジオを通して作っていきたい。
株式会社SD.S
代表取締役
疋田 博美さん
毎年チャリティークリスマスで可愛いキッズダンスを披露してくれるダンススタジオSD.S。
代表の疋田さんに、ダンスのこと、これからのことなど伺わせていただきました。
映画がきっかけで始まったダンス人生。
ダンスを始めたきっかけを教えてください。
3歳の頃に「赤い靴」という映画を見て、バレエを始めました。始めた時は「これだ!」と思いましたね。ステージでライトを浴びるのが楽しかった。
スクールメイツやゴールデン・ハーフが踊っているようなダンスもしたいと思っていましたが、当時の札幌にはバレエスクールしかない。ダンスをするには「東京に行かないとダメだ!」と子供ながらに思っていました。反対する両親を横目に、恵比寿に住んでいる叔母を頼ろうと、上京できる日を虎視眈々と待っていましたね。
偶然のご縁で、道が開ける。
東京ではどのようなダンスをされていたのですか?
東京でダンスがしたくて、なんでもいいから上京する理由を作るため、東京YMCA社会体育専門学校に入学。学校に行きながらジャズダンスを学ぼうと、いろんなスタジオを探し回ったのですが、灯台下暗しで、専門学校のジャズダンス同好会で、今でも私の「師」と仰ぐ緑川先生に出会い、私はどんどんダンスにのめり込みました。
ダンスの道を進むため、就職活動をしていなかったのですが、専門学校の体操の先生(有名スポーツジムのお偉い方)から、「仕事が決まっていないなら、うちに来なさい」と誘っていただき、すんなり就職が決定。
そこのスポーツジムでは4年ほどエアロビクスを教えました。当時はエアロビクスが大流行。ありがたいことに超売れっ子でした。
でも、ふと、「私何やっているんだろう」と感じたんですね。ダンスレッスンを受けるためのチケット代を稼ぐためにダンスを教えていたのですが、「本当は私は何がやりたいんだろう?」って。
そんな時、昔見た「猿の惑星」に出てくる自由の女神が出てくるシーンを思い出し、「そこにいきたい!」って思ったんです。
その頃テレビで「フェーム」という、ニューヨークの高校生のダンス学校を舞台にしたドラマがあったり、フラッシュダンスの映画もあって、「やっぱりダンスで表現がしたい!」と思い、全部捨ててニューヨークに行きました。
したいことを口にすることで、願いが叶ってきた。
ニューヨークでは何を?
何も決めてはいなかったのですが、ダンスのパイオニア、アルヴィンエイリーのスクールに行きたいと思い、調べてみると9月に入学試験があるのがわかりました。バイトをして、入学費用を貯め、入学。そこではダンスの歴史やテクニック、ストレッチの方法など幅広く学びました。
2年間バイトをしながらダンスを学んでいたのですが、また、「なんか違う」と言う思いが…。そんな時、偶然入ったバーでフラメンコを見て「私に足りないことはこれだ!」と思い、今度はスペインに行くことに。
スペインではどんなことを学ばれたのですか?
スペインもどこにいけばいいかわからなかったので、昔映画で見たセビリアに行くことに。
お金がなかったので、日本から持ってきたものをストリートで売って、飛行機代を稼ぎ、辞書、ガイドブック、スーツケースだけを持ってスペインに。
当時、セビリア万博があり、日本企業のガイドの仕事をしながら、周りの人に「フラメンコをしたい」と話していたら、スペインで国宝的なダンサーを紹介してもらい、直接教えてもらえることに!
私はやりたいと思ったことはなんでも口にするんです。そうすると周りの人が聞いてくれていて、誰かが助けてくれて叶うんです。
スペインには1年ほどいたのですが、ある日、ジプシーの貧しい子供に、「お前はお金がないないといつも言っているけれど、結局日本に帰ったら食べていけるだろう」と言われたことがありました。それを聞いて、今までしてきたことはただの日本人のお嬢様の遊びだったと感じ、「日本に帰ってちゃんと仕事をしよう」と決意しました。
視察に来ていた企業の方に「日本に帰ろうと思う」と話したら、マドリードまでの電車代とニューヨークまでの飛行機代を出してくれました。
ニューヨークに戻ると、日本でスポーツジムを経営されている社長さんから、「うちで働くなら、帰りの飛行機代と家のお金を出してあげる」と言われ、仕事も住むところも全て用意していただき、帰国できることに。
そこからどんな経緯でダンススクールを始められたのですか?
帰ってきてから、スポーツジムのアドバイザーやスタジオ管理、人材管理などをやっていたのですが、しばらくすると、「これもやっぱり違うな」と感じ始めました。「人を管理する」というのが私には合わなかった。
今まで有名な方々にいろんなダンスを教えてもらい、いろんなところで、いろんな経験を積んできましたが、いつも「本当は何をやりたいか」を考えていました。そして色々とやってきて、私は、「作る」、「提供する」、「教える」、「演出する」のが好きなのかもしれないと気づき、自分で自由に作れるハコを持ちたいと思ったのが、スクールを始めたきっかけですね。
それぞれの子が、自由に自分を表現できるきっかけの場を。
子供たちにはどんなことを教えていらっしゃるのですか?
最低限のダンスの基礎は教えますが、楽しく踊って欲しいと思っています。
あとは、「想像力」「判断力」「決断力」を持つようにということを話していますね。
これをしたら人がどう思うか、今自分がしていることは、「いいこと」なのか「悪いこと」なのかを想像しなさい、と教えています。踊りもそう、舞台で自分はどこに立っている? 何を表現しようとしている? いつもステージを想像しなさい、と言っています。
私は、子供達がここに来たことによって「何か始めよう!」「何かやれた!」「こんなふうに生きていきたい!」という自立心を育てるきっかけを作ってくれればいいなと思っています。そのためには、それぞれの子供が思っていることをきちっと表現できる場を作りたい。怒られるから言わない、では本当に何がしたいかわからなくなってしまいます。
ダンススクールSD.Sの今後のビジョンを教えてください。
今まではここで「育てること」「きっかけ」を作ってきたけれど、大人になって卒業した子が「ただいま」と帰って来れるクラスも作ってあげることも必要かなと思っています。
あとは、親が仕事で帰るのが遅い子もいるので、将来的には学童や子ども食堂的な機能も作って、「ただいま」と帰って来れるような場所が作れればいいかな。私は料理を作るのが好きなので、「お袋の味」を提供するのも夢ですね。
いろんな国の料理を作って、いろんな文化を知れるような、いろんな人と繋がりながら、各国の民族舞踊が踊れるような場にしていくのも面白いなと思っています。
世界の面白いことをギュッとまとめたようなハコ。そんな楽しいコミュニティを作りたいですね。
ダンススタジオ SD.S
〒131-0032 東京都墨田区東向島4-20-17
TEL:03-3617-6310
定休日:毎週日曜日・祝日
http://studio-sds.com/