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株式会社オイシン
いなり寿司 のり巻き 専門店「松むら」

(2022年3月取材)

変わらない美味しさへの挑戦

株式会社オイシン 嶽本様

株式会社 オイシン
いなり寿司 のり巻き 専門店「松むら」
代表取締役 嶽本 信吾(だきもと しんご)さん

1日に1200人前が出ることもあるといういなり寿司・海苔巻きの名店「向島 松むら」。
先代となるお父様から始まったお店と地元曳舟に対する思いを嶽本信吾社長にたっぷり語っていただきました。

握りではなく「いなり」だったけど…

どのような流れで創業したのでしょう
 
はい。 曳舟で商売を始めてもう約50年になります。父が集団就職で愛媛から上京して就職したのが当店の本店にあたる浅草の松むら。父は握り寿司屋に就職できると思っていたらしいですが、いざ実際に店に来たら寿司は寿司でもいなり寿司だった。「辞めようか」とも思ったらしいです。
 
「でも、やってみたらいなり寿司がむしろ自分に合っていた」と。 父が暖簾分けという形で曳舟の地に「向島 松むら」を開店して、父が亡くなった後は私が2代目としてお店を引き継ぎました。
 
父は商売が上手な人でしたね。 特にお客さんとのコミュニケーションが得意で、営業中もずっとおしゃべりしながら作っていました。 私も小さい時からよく手伝わされて、油揚げを煮たのを並べたり折詰の包装をしたり。お店の仕事は小学生くらいの時からとても身近でしたね。
 
 
 
二代目として後を継ぐことを決めたきっかけを教えてください
 
お店を継ぐことに決めたのは高校生の時。 父から「信吾、お前がやれ」と言われて決心しました。 うちのいなり寿司が美味しいのはわかっていましたし、自分が売り方を勉強してもっと知ってもらいたいという意欲もあったので「やる」と答えました。

油揚げを上手に煮るのは、全料理で一番難しい

どんな修行時代でしたか
 
高校を卒業して、まず調理の専門学校に1年。 その後、日本料理・懐石料理の修行を8年くらい経験しました。 今はお店でやることはないですが、ふぐの調理免許も持っているんです。 どうせ料理の道に進むならいろいろできた方がいいと思い、厳しい修行にあえて身をおきました。
 
27歳の時に一回実家に戻り、煮方や巻き方まで、お店に関わることを全部父から教わりました。 父の仕込みは本当に厳しかったですね。 横でずっと見ていてダメなところがあったらすぐに指摘される。

油揚げにご飯を詰め込むのは一つ一つ手作業。できたそばから飛ぶように売れていきます。

油揚げを上手に煮るのはあらゆる料理の中で一番難しいです。 単純作業に見えますが、油抜きの仕方、煮方でまるっきり違ってしまいます。 油揚げの水分量が多いとたれが薄くなりますし、油揚げの原料である大豆も季節によって違うので、同じようにやっていても違うものが出来上がってしまう。 今でも毎日「物にできてない」と感じています。
 
店の一通りを教わってから、また一度外に出たんです。 今度は外食チェーンを運営する企業で料理責任者として10年くらい勤めました。 経営の勉強をしたいと思ったのが理由です。 当時の仲間たちとはいまだにつながっていて、当店の繁忙期に手伝いに来てくれることもあります。
 
そうしているうちに父が病気で入院。 朝7時から松むら、夜6時から会社で1時くらいに帰ってくるという生活を1年くらいしていました。 父が入院中に「信吾頼んだよ」と言ってもらえたのが今でも心に残っています。 父が大切にしていたお店を続けていきたい思いでここまで頑張りました。 父が亡くなったタイミングで今の店の場所に移り、いよいよ2代目としてスタートを切りました。
 

息の合った連携でおいしさをお届けします。

変わらない味を提供し続けたい

大切にしていることはなんですか
 
一番大切にしているのは「変わらない味」ということ。90年くらい継ぎ足しで使っているタレもその一つですし、毎日味がぶれないような仕込みになるように気を付けています。
 
私の代になってから取り入れたこともあります。 今のお店の間取りや調理器具の配置、内装や外観は自分で図面を書いて考えました。 また、より多くの人に当店を知ってもらいたいという思いで、駅看板やチラシ、ホームページ、Web広告にも新たに挑戦しました。 おかげさまでTVの取材をいただいたりと、人目に触れる機会は増えていると感じています。

町に賑わいが戻って欲しい

曳舟はどんな町ですか
 
人情味が溢れていて本当にいい町ですね。 人との温かいつながりがあります。 同級生もよくお店に寄ってくれますし、人が集まる場所になっているという意味でお店をやっていてよかったと感じることは多いです。
 
地域の行事も活気があって楽しいですね。 白鬚神社のお祭りの時は1日1200人前くらいの注文が来る。 それが2日間なので私たちは注文に答えるのにいっぱいいっぱい。お祭りにはあまり参加できませんが、地元の人が手伝いに来てくれるので助かっています。
 
コロナでそういった行事は中止になっていますが、おうち時間需要で普段の食卓用にテイクアウトするお客さんはむしろ増えました。 若いお客さんも増えていると感じています。
 
一方、地域の賑わい自体は昔に比べると寂しくなりましたね。もともと当店の並びは4のつく日は縁日になる商店街で、当日は屋台が並び自転車も通れないくらい人手があったんです。 それが少子化やお店が少なくなった影響で寂れてきて、去年
商店街がなくなってしまいました。 もう以前のようには戻らないと思いますが、若い人が増えて少しでも賑やかな町になって欲しいです。

長年「松むら」を支えるお二人。

いなり寿司の長期保存に挑戦したい

今後の目標を教えてください
 
今年の1月に法人化をしまして、株式会社オイシンとなりました。「真においしい」という意味で付けた社名です。 私の名前の信吾とも響きを合わせました。これからも本当に美味しいいなり寿司、海苔巻きを皆さんに提供し続けたいですね。
 
今後新たに挑戦したいこととしては、いなり寿司の長期保存です。 今の技術だと当日しか持たなくて、遠方や海外へのお土産のリクエストに応えられない。品質は落とさずに真空パックや冷凍にできたらいいなと考えています。法人化したことでそういうチャレンジもしやすくなったと思うので、是非実現したいです。

 店舗情報

いなり寿司 のり巻き 専門店「松むら」

株式会社 オイシン
いなり寿司 のり巻 専門店 「向島 松むら」
 
131-0032 東京都墨田区東向島1-15-12
電話 03-3612-5045
https://mukoujima-matsumura.com/

アクセス

〒 131-0032 東京都墨田区東向島2-8-5
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FAX : 03-3616 - 3536