有限会社 亀屋
(2021年4月取材)
私たちは、「美味しさ」という幸せを与えられる仕事をしています。
コロナ禍で元気のない人、大変な人に少しでも笑顔になっていただけるよう、スタッフみんなで「美味しさ」と「笑顔」「元気」を日々届けられるよう頑張っています。
有限会社 亀屋
代表取締役
佐伯 信郎さん
コロナでつながるコラボ商品開発の和
墨田区で生まれ育った人なら知らない人はいないほど地元で愛されている、誰もが大好きなパン屋さん「かめぱん」の佐伯社長にお話を伺いました。
今回の取材で佐伯社長が開口一番にお話ししてくださったのは、4月4日から販売された「料亭きよし」さんと「亀屋」さんのコラボ商品「料亭たまごサンド」のお話。 厚焼き卵、だし巻き卵は「料亭きよし」の職人さんが作り、その卵焼きにあったパンの開発を「亀屋」さんがされています。(取材日4月1日)
昨年から続くコロナウィルス感染症対策の影響で厳しい状況が続く飲食店の経営。 何かお手伝いできることはないかと考えておられた中、料亭きよしの女将さんから佐伯社長にお声がかかり、「料亭たまごサンド」の商品化が実現しました。
「料亭たまごサンド」は、ソラマチの観光協会ブースでのお披露目会や錦糸町パルコでイベントなどを取り組まれ、街おこしの一環となるようにプロモーションを行ったそうです。 (「料亭たまごサンド」は、石窯パン工房 KAMEYA(向島店)で販売されます。)
料亭たまごサンド「あまめちゃん」
料亭たまごサンド「だし女将」
料亭たまごサンド ホームページ
キューバサンド
「なぜ居酒屋さんがパンを販売?」という疑問を持たれる方も多いかと思いますが、コロナの影響で居酒屋の業界も厳しく、業態を変えていかないといけないということで佐伯社長に専用のパンを作って欲しいと相談があり、商品が誕生。
昨年の「肉フェス」では、2時間で300食を販売。2日間で約600食完売という大人気商品となったそうです。
(「キューバンサンド」は、現在かめぱん店で販売されています。)
他にも、「うず食堂」さんとのコラボで、「うず食堂」さんの美味しい唐揚げをコッペパンではさんだ商品や、ハンバーガーのバンズを春限定に、薄いピンク色にした商品の開発など、さまざまなお店とのコラボレーションでお店や地域の活性化に力を入れておられます。
質の良いコラボ商品ができるのは、亀屋の人材育成の基礎がしっかり出来上がってきたから。
コラボされている商品は、お店のスタッフの方たちとアイデアを出し合いながら開発をされているそうです。
亀屋さんのホームページをご覧いただくとお分かりになると思いますが、佐伯社長は「人を育てる」ということにとても力を入れておられます。
人が育たなければ、美味しいパンはできない。
生きた酵母を扱うパン屋では、発酵時間の関係があり、上手く時間管理ができないと、毎日長時間労働になりがちになる。「どうして今それをするのか」「次はこの作業をするから、今この段取りをしないといけない」。そういう事が分からないと、パンもおいしく焼けないし、仕事環境の改善もできません。 最近はそういうことが理解できるスタッフが増え、新しい人を育てられる環境が整い、コラボなどの商品開発に取り掛かれる時間ができ、良い環境が整ってきていた時期だったと佐伯社長。これからのコラボ商品も楽しみです。
父から受け継いだ「お客様に喜んでいただけるように」という思いをどこまでも大切に。
昭和27年 佐伯社長のおじいさまが亀屋を創業。 戦後は「委託加工」という物々交換ができる形でパンの販売をされていたそうですが、当時は良質な物資も少なく、なかなか美味しいパンを自分の手では作れないと悩んでおられたそうです。そんな中、千葉の市川で美味しいパンを作るところがあると聞き、取引を始めたのが山崎製パンだったそうで、そのままお父様の代の途中まで「ヤマザキショップ」としてパンを販売されていました。時代が進み、コンビニが流行り出してきた時に、「このままでは競合が増えてしまう」と危機感を覚えたお父様は、技術を身につけるためにパン屋に修行に行き、現在の焼きたてパンを販売する「かめぱん」が誕生。
お父様は常に「お客様に喜んでもらえるように」とおっしゃっておられ、いつも「お客様が飽きないように」と考えてパンを作っておられたそうです。佐伯社長も「やはりそれが一番大事」と、お店のスタッフにもその思いを伝えていらっしゃいます。
その思いで行なってこられたお仕事は、いろんな形で佐伯社長のもとに届いています。例えば、昔社長が小学校でパン作りを教えていた時に授業を受けていた子が、現在向島店の管理者をされているそうなのですが、その管理者の方が卒業した中学校で「パン屋になりたい女の子の夢を叶える」という企画があり、その管理者の元で2時間パン屋さん体験をし、とても喜んでいたとのこと。
親子代々受け継がれてきたパンを愛する思い、お客様や地域を愛する思いはスタッフに受け継がれ、巡り巡って人や店をつなげ、幸せな和となり、嬉しい形でご自身たちの元に戻ってくる。
そんな幸せな和を日頃から作っていくことが本当に大切だと感じるお話をお伺いさせていただきました。