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株式会社 浜野製作所

(2017年10月取材)

 東京という地域性と墨田の町工場の高い技術力で、
 下請けから脱し、世界へつながる大きな可能性を産み出す。

株式会社 浜野製作所 浜野社長
株式会社 浜野製作所

 

株式会社 浜野製作所
代表取締役CEO
浜野 慶一さん

父の興した町工場が、墨田の街で愛されて半世紀。

 弊社は墨田区八広で昭和53年に設立。少量多品種の板金加工、金型を作らない希少な製品を作る会社として、今期で40期目を迎えます。
 創業者は私の父で、父が始めたプレス加工をするための金属金型工場が弊社の原点です。小さな町工場としてスタートしましたが、今では41人の従業員とともに、設計・開発の上流⼯程から組⽴・検証の下流⼯程まで「⼀気通貫のものづくり」を実現。
 父の興した工場から半世紀が経ち、この隅田の街で、今も地域の方々に支えられています。

突然の別れと、後継者としての覚悟、3人からの再スタート。

 昭和4 3年に父が創業した当初は、金型を作る町の小さな工場でした。高度経済成長期という背景もあり、金属部品の大量生産を請け負っていました。

 昭和53年には新しい工場が建設され、現在の(株)浜野製作所を父が設立。
 しかし、私が29歳のとき父が他界。突然の出来事でしたが、残された母と私と、一人の従業員で再スタートをいたしました

大量生産から、少量多品種のエキスパートに!

  新しい代表取締役社長として、私はそれまでの大量生産という体制を見直し、少量多品種の板金加工、金型を作らず数の少ない製品を作るという方針を立てました。

 にもかかわらず、いよいよこれからという時に、平成12年、まったく想定外の事故が起こります。弊社の根幹である本社兼⼯場が、近隣の⽕災によるもらい⽕により全焼してしまったのです。火事で、すべてを失うということが、本当にあるのだと痛感しました。

事故からの再生は、人の支えで生きていることを実感。

スタッフ

浜野製作所のスタッフのみなさん

 火事が起きてからの日々は無我夢中、眠れない日々が続きましたが、一番大変な時に力を貸してくださった墨田の地域の方々、お客様、会社立て直しのために頑張ってくれた社員、従業員。多くの方に助けられたおかげで、同年3月には仮工場での営業を再開。9月には元の拠点である墨田区八広に、精密板金、試作の工場を設立することも実現できました。私は事故からの工場再生を通じて、本当に人の支えで生きている。会社を経営させていただいている。ということを、改めてこの胸に刻みました。
 

 この工場再生を機に、初めに目標としていた希少な製品に特化し、設計・開発という「情報の上流部分」を仕事にすることに注力。少量多品種の板金加工でエキスパートという信頼を積み重ねていくことで、地域の方にも認めていただけるようになりました。そして、社員、従業員の数も次第に増えていきました。

その時から、精密板⾦の⼯場を「本社板⾦⼯場」、プレス⼯場を「プレス・⾦型⼯場」と名づけるなど、事業の再構築が進みました。3年後の平成15年には、墨⽥区から優良工場として「フレッシュゆめ⼯場」モデル⼯場との認定を受け、同年4月には墨⽥区と早稲⽥⼤学との提携に伴い、弊社と早稲⽥⼤学との産学連携活動がスタート。
 

 墨⽥区ゆかりの浮世絵師・葛飾北斎にちなんだ電気⾃動⾞「HOKUSAI」開発プロジェクトや、約8000メートルの深海で世界初の3D撮影に成功した無人探査艇の共同開発「江⼾っ⼦1号プロジェクト」もここから誕生しています。
 
江戸っ子1号 プロジェクト

江戸っ子1号 プロジェクト


 
HOKUSAI

HOKUSAI

ものづくりへの想いが、私たちを元気にしてくれた。

 私たち(株)浜野製作所は、どんなときも「常に明るく、元気良く」をモットーとしてきました。「火事の時、お世話になった全ての方々に、感謝の心でご恩返しできるような会社を作ろう!」というのが、社員・従業員との合言葉になっています。
 平成17年には「すみだが元気になるものづくり企業⼤賞」を受賞。少量多品種の板金加工という分野で信頼を得てきた弊社ですが、ITインフラが整うとともに、この仕事は世界各国どこでもできるようになったため、仕事のスタイルをさらに転換。
 設計開発部での試作や新製品の開発に力を注ぎ、東京という地の利を生かし、企業間ネットワークの構築も進めています。
 こうして塗装処理・各種精密メッキ・アルマイト・シルク印刷・各種コーティング処理・機械加工・設計・挽物加工等、あらゆる作業工程を含む「ものづくりのトータルサポート」をする受注生産体制が可能になりました。

 中小製造業の明るい未来を切り開く、プロジェクト「スミファ」。

 いま、日本の町工場は最盛期の4分の1になりました。高度経済成長期のあと、大手メーカーの⽣産拠点は土地や人件費の安い海外へ移転し、町工場の仕事は減り続けています。後継者は不足していて、このままではものづくりの技術を次世代へ継承することができないという状況にあります。次世代もこの仕事で楽しみながら利益を得られる環境を作り、誇りをもって、ものづくりの仕事に取り組めるような教育、情報発信をしなくてはなりません。
 墨田の街を愛し、支えられてきた私には「墨田に恩返しをしたい」気持ちがあります。そして東京都墨田区を「ものづくりを楽しむ」製造業の拠点として、全国各地はもちろん、世界各国に伝えたいという想いがあります。子どもたちを含め年間1万人の来場者を迎える工場見学ツアーを開催してきましたが、最近では観光を融合させた墨田の街ツアーへと変わり、発展し続けています。

中小製造業の担い手として、ものづくりへの情熱と、誇りに思う気持ちを忘れたくない。

 ものづくりを情報の上流、企画開発のところから関わるような仕事をしていきたいというのが、代表取締役社長に就任した当初からの目標でした。私がアイデアを出すだけでなく、新人研修の時からアイデアを出させ、社員全員にものづくりの楽しさを知ってもらう。企業間ネットワークも生かし、互いに魅力的な製品を開発する企画力を磨き合っていけるよう心がけています。

ガレージ スミダ

ガレージ スミダ


 

 ものづくり実験施設「Garage Sumida(ガレージスミダ)」は、常に社員、従業員とのブレインストーミングが行われ、施設⾃体が「実験⼯房」というマーケティング要素を含んでいます。社員、従業員と力を合わせて、アイディアを出し合う、やりがいのある現場です。
 中⼩製造業の悲観的な未来が語られることも多いですが、私は町工場を営む両親のもとに生まれ、製造業のものづくりに携わり続けてきて、この仕事に誇りをもっています。経済産業省から「平成25年度おもてなし経営企業」に選定され、「江⼾っ⼦1号」プロジェクトが第12回産学官連携功労者表彰(内閣総理⼤⾂賞)を受賞したことも、大きな励みになりました。 これは、今まで支えてくれた社員、従業員、地域の方々、他企業の専門家にもお力を借りたことの成果です。

次の世代に伝えたいメッセージ

 これからも墨田から世界を繋ぐものづくりの情報を発信し、さらにものづくりの業界、現場を活性化させていきたいと思っています。そのためにも、若い世代の方々の新しく、ユニークなアイデアが必要です。自分の作りたいという思いを形にする楽しさや、それが多くの方の役に立つ喜びを多くの方に知っていただき、ものづくりの仕事を盛り上げていきたいと思います。

 会社概要

株式会社浜野製作所 本社

株式会社 浜野製作所

【本社工場】
131-0041 東京都墨田区八広4-39-7
TEL 03-5631-9111
FAX 03-5631-9112

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FAX : 03-3616 - 3536