ナガセケンコー株式会社
(2016年9月取材)
日本の野球人気を 支えてきた80年
公益財団法人 向島法人会 元会長
ナガセケンコー株式会社
取締役名誉会長 長瀬二郎さん
ナガセケンコー株式会社
取締役名誉会長 長瀬二郎さん
長瀬ゴムへの入社
私は、昭和7年文京区で生まれ、大学卒業後に東映に入社いたしました。
その後、縁あって長瀬家の婿養子として会社に入社いたしました。
昭和52年に社長に就任し、平成25年に会長となるまでの36年間会社を牽引して参りました。その間、群馬県館林市(昭和41年)と千葉県大多喜町(昭和53年)に生産工場を移転し、本社工場を閉鎖しました。
昭和60年には社名を長瀬ゴム工業からナガセケンコーに変更しました。
軟式野球ボールの製造
当時のボールとパッケージ
明治期にアメリカから伝わった野球は硬式でしたが、誰でも楽しめるように考案されたのが、軟式野球でした。
昭和9年、創業者である長瀬泰吉が向島区隅田町(現墨田区墨田)で「長瀬護謨製作所」として軟式野球ボールの製造を開始しました。当時は、軟式野球が庶民の娯楽の代名詞であり、製造会社は全国200社も存在していました。
しかし、時代は日本が戦争に向かって突き進んでいく中であり、原材料である天然ゴムの供給が次第に厳しくなり、昭和17年の企業整備により、製造会社は当社を含めた7社に限定され、代表して当社に於いて共同生産しておりました。
戦後の生産再開と 高松宮殿下の御成り
終戦を迎えると、GHQより天然ゴムの配給を受け、軟式野球ボールの製造をいち早く生産再開ができました。
これにより、野球が戦後の復興に大きく貢献したことは、皆様もご存じのことと思います。昭和26年には、高松宮宣仁親王殿下の御成りを戴き、工場内を視察していただきました。その際に、長瀬泰吉が健康ボールを献納しております。 爾来、当社は軟式野球ボール製造メーカーとして、国内トップシェアを維持しております。
軟式野球ボールの改良
軟式野球ボールのデザインの移り変わり。
改良を繰り返し二重張り構造が開発された。
当初、軟式野球ボールは一枚張り構造であったため、プレー中にボールが割れることが日常でした。当時のルールには、割れたときの対応も決められていたそうですが、それを解消する「二重張り構造」を開発し、現在ではボールが割れる事は、ほとんど無くなりました。
王貞治氏との交流
ケンコーワールドのボール
東京オリンピック開催以降、競技の国際化が進み、軟式野球も少年野球を中心に国際交流が盛んになっていきました。
特に1980年にスタートした「東京ニューヨーク親善少年野球大会」は、20年に渡り継続し、軟式野球を通じた国際交流として姉妹都市交流に大きく貢献しました。しかし、硬式経験者と軟式経験者の交流には、ボールの違いに不慣れなことが、しばしば試合に水を差す結果となっていました。私は、それを補うボールの改良に着手し、平成元年に外観は硬式ボールでバウンド低く抑えた軟式と同じ中空構造の「ケンコーワールド」を発売、硬式軟式の隔てなくプレーできる環境に貢献することができました。
特に1980年にスタートした「東京ニューヨーク親善少年野球大会」は、20年に渡り継続し、軟式野球を通じた国際交流として姉妹都市交流に大きく貢献しました。しかし、硬式経験者と軟式経験者の交流には、ボールの違いに不慣れなことが、しばしば試合に水を差す結果となっていました。私は、それを補うボールの改良に着手し、平成元年に外観は硬式ボールでバウンド低く抑えた軟式と同じ中空構造の「ケンコーワールド」を発売、硬式軟式の隔てなくプレーできる環境に貢献することができました。
軟式野球の国際化
サポートしている世界少年野球大会 のチラシ
世界少年野球大会で使用されている ボール
王氏は、選手を引退して程なく、「野球を世界のスポーツにしたい」理想を掲げて「世界少年野球大会」を開催し、当社にボールの協力の依頼がありました。それから25年、今でも大会のサポートを続けております。開発されたボール「プレイキャッチ」は、野球の初心者でも楽しめるボールとして、現在、全国の野球教室でも幅広く使われています。
軟式テニスの普及活動
野球同様にテニスも硬式として日本に伝わりましたが、用具が高価で中々庶民のスポーツとして広まりませんでした。そこで、安価なラケットとボールが開発されたのが、約120年前です。
当社も昭和24年に軟式テニスボールの製造を開始し、年輩の方々には「エヌワン」の愛称で親しまれておりました。(現在は、「ケンコーボール」に名称を変更しています)その後、実業団として女子テニス部を創設し、軟式テニスの普及発展に尽力しました。国体では当社のチームが主体となって東京都の代表を務めており、平成25年の東京国体で優勝しているだけでなく、皇后賜杯全日本選手権優勝14回、日本リーグ優勝5回の実績を残す、日本を代表する実業団チームとなっています。
現在
平成25年に社長を長男の泰彦に譲り、平成28年6月には金融機関出身で長女の夫でもある柳田昌作専務を4代目社長に昇格させ、私は名誉会長に就き、会社の充実と基礎固めをしております。
往年に比べ、野球人口は大きく減少していますが、高校野球やプロ野球等の野球人気を後退させないよう、社員一丸となって社業に邁進しております。
また、2020東京オリンピックに野球ソフトボールが採用されましたことは、野球関係だけでなく、スポーツ業界全体に追い風となっていくに違いありません。
今まで、会社を応援していただいたお客様からのご信用に衷心より感謝申し上げます。今後とも宜しくお願いいたします。
会社概要
ナガセケンコー株式会社
http://www.nagase-kenko.com/
■東京本社
〒131-8520 東京都墨田区墨田2-35-6
TEL 03(3614)3501(代) FAX 03(3614)0730
その他支店:
■大阪営業所
■九州営業所
■名古屋営業所